益子病院
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稼働システム
・病院情報システム HAPPY CLIOS-ER
・医事会計システム HAPPY CS-III
診療科目:
17科目(内科、小児科、呼吸器科、外科、胃腸科、肛門科、整形外科、形成外科、リハビリテーション科、泌尿器科、循環器科、脳神経外科、麻酔科、心臓血管外科、放射線科、人工透析、人間ドック)
病床数:
145床
所在地:
埼玉県川口市芝中田2-48-6
TEL:048-267-2211
http://www.masiko.or.jp/masiko_page/masiko.html
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電子カルテ化を視野に入れ段階的にシステムを拡張
埼玉県川口市のほぼ中央に位置する医療法人健仁会益子病院は、昭和31年の開設以来、先進の医療技術や最新設備の導入を積極的に進めて地域医療の中核を担うとともに、「基本理念」に『患者さんの権利』宣言を掲げ、患者さんの立場に立った医療を目指しています。同院で、2008年11月から運用を開始している医事会計システム「HAPPY CS-III」と段階的にシステムを拡張している病院情報システム「HAPPY CLIOS-ER」に関して、益子博氏(理事長、外科医)、清水昭吾氏(医局長、循環器科医)、尾花江美氏(薬局長)、宮城義人氏(事務部長)の各氏に、導入の経緯と現在の運用状況、今後の展開について伺いました。
患者サービスの向上と業務の効率化を目指す
益子博氏
益子病院 理事長
1年前まで益子病院ではIT化に苦慮していた。従来のオーダエントリシステムは、院内業務とかけ離れていた部分があるだけでなくデータベース機能が脆弱で、ほとんど“マニュアル”で運用するような状況だったためである。医事会計システムでもベンダーの対応が遅いために苦労していた。
そこで2008年5月に、電子カルテ化を視野に入れて病院情報システムを刷新し、「患者サービスの向上」と「業務の効率化」そして「安全性の確保」を目指すことした。システムベンダー数社から提案を受け、TSMEDに決定したのは6月中旬のことだった。
益子博氏(理事長)によると、短期間の稼動、段階的なシステム拡張、投資金額などさまざまな検討事項はあったが、「TSMEDのシステムを導入した病院を見学した際に、TSMEDに任せればシステム導入が成功するだろうと確信した」ことが選択の理由だった。
同院ではIT化の一環として、フィルムレス化を目指して2008年7月からPACSを稼働させることが決定していた。そのため、オーダエントリシステム内で放射線画像を参照することが必須であった。そこで、病院情報システム「HAPPY CLIOS-ER」と医事会計システム「HAPPY CS-III」を、同年11月に稼動開始という短期間で導入されることになった。しかしながら、病院情報システムを導入するには多大な時間がかかるため、「HAPPY CLIOS-ER」は段階的に導入することになり、11月の第1期導入時には放射線オーダ、処方オーダ、検体検査オーダ等のオーダエントリシステムを稼動することになった(表1)。
表1 益子病院のシステム導入スケジュール
旧システムとの併用期間も入れて約3カ月でシステムを構築するという短期間でのシステム導入となった。
システム委員会委員長として導入の推進役を果たした清水昭吾氏(医局長)によれば、スケジュールに関しては「担当SEが時間管理をしてくれたので、それに引っ張られるようにしてみんなが動いた」ので全く心配しなかったという。
「システム構築時に一番大変だったのは各部門。薬剤部は薬剤マスタを作らなければならなかったし、医事課はレセプトとの紐付けが大変だった。出来上がったシステムを運用する現場の看護師や事務職員たちは、患者さんをいかに誘導するかという手順の変更が大変だったはず」(清水氏)
尾花江美氏
益子病院 薬局長
薬剤マスタを作成した尾花江美氏(薬局長)によれば、導入前に旧マスタのデータ整理に約1カ月間をかけたという。旧システムの古いデータだったためである。次に、新システム用の事前入力に約3週間を費やした。処方の前回Doの事前入力をしたこと、新マスタでは50音順だけではなく薬効順にリスト化したため。このことにより、パソコン操作に慣れない医師の誤入力を防ぐことになった。
同院は院外処方であるが、旧システムでは最終的に医師と薬剤師による処方監査を行っていたが、新システムでは処方箋が診療室で発行されるため、薬剤師による処方監査が無くなっただけでなく、患者さんの待ち時間も短縮されたのである。さらに、調剤薬局からの問い合わせも減少しただけでなく、「カルテを見に行かなくても端末から得た患者情報で答えられるのでとても便利になった」という。
また、薬剤マスタのメンテナンスに関しても、「経過措置品目や名称変更になった薬剤など、更新データがTSMEDから送られてくるので、採用薬を決定する際にとても助かっている」と尾花氏は高く評価している。
2009年9月に拡張された注射オーダに関しても、入院患者の前回注射のDoデータを事前入力していたため、稼動にあたって医師からの入力に関するクレームは全くなかったという。
段階的導入で無理なくシステムを拡張
清水昭吾氏
益子病院 医局長
宮城義人氏
益子病院 事務部長
清水氏は、当初はシステムの段階的導入ではなく「一気に電子カルテ化するのが望ましい」と考えていたという。
「電子カルテシステムは『病院運営の理想型』を目指して開発されています。しかし、病院業務の運用はファジーな部分もあり、一気に電子カルテを導入するには、既存のやり方を抜本的に見直す必要がある。そのためには、病院を1カ月ほど閉鎖してスタッフ全員で検討することになるが、もちろんそこまではできない。だから、段階的な導入で良かった」(清水氏)
また清水氏は、システム構築に際して病院の業務運営を改めて見直す機会になったことも指摘する。「システム化のために手順の見直しを実施したところ、従来の手順には無駄があったことが明らかになり、ファジーだった部分を明確にする必要もありました。そこで、システムに合わせた業務フローにしたのです」(清水氏)。
つまり、システム構築のプロセスが業務を改善するプロセスになったというのである。
一方、清水氏は月に1回程度しか来院しない非常勤医たちがシステムを使いこなせるかどうかを心配していた。ところが稼働すると、非常勤医たちは「大学のシステムよりも使いやすい」という。「この病院のシステムは自分で入力できるが、大学のシステムの点滴オーダは複雑すぎるので若いスタッフに入力を頼んでいる」という医師もいるほどだった。
宮城義人氏(事務部長)によると、スムーズに導入できたのは、各部門の代表がリーダーシップを発揮してくれたことが大きいという。「特に、年配者への教育は大変でしたが、電子カルテ化するという大きな目標に向かって、スタッフが一丸となって取り組んだ」ことによって、大きなトラブルもなくシステムが導入できたのである。
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| 診察室には、PACS用画像閲覧モニタと病院総合情報システム用のモニタの2台が並んでいる。 |
益子病院では東芝製64列マルチスライスCTを導入し、フィルムレスで運用している。 |
電子カルテ化で
さらなるサービス向上と効率化、安全を目指す
益子氏(理事長)は、システム導入によって薬の重複投与や相互作用など、「安全性を高めることも大きな目的だった」と語る。清水氏によると、システム導入後は医師同士が患者さんの情報をお互いにチェックするようになったという。患者さんの情報が医療スタッフの間で共有化されていることで、他の医療スタッフに「監視=牽制されているという意識がある」というのである。例えば、患者さんが他科で撮影したX線写真でもクリックして閲覧するようになった。病院情報システムがプラットホームとなって、患者さんの情報を中心に、多くの医療スタッフがよりよい医療を提供する協力関係を容易に構築できるようになっているのである。
益子病院のIT化はどこまで進むのか。益子氏(理事長)は「オーダエントリーシステムの導入は、電子カルテを視野に入れたものなので、電子カルテ化は計画通り実行していきます」と語る。そして、電子カルテ化による患者サービスと効率化のさらなる向上に期待しているのである。
「ペーパーレスになることで、患者さんの動線がすっきりし、会計も早くなり、待ち時間が短縮されます。時間的なロスを削減することで、患者さんに提供できる時間を有効に使うことができるようになり、サービスが向上します」(益子氏)
益子病院は、電子カルテ化という目標に向かってシステムを拡張し、さらなる「患者サービスの向上」と「業務の効率化」を目指していくのである。
『TSMED NOW』Vol.13(2009年10月31日発行)より
本記事中に記載されている固有名詞や肩書き、数値等は掲載日現在のものであり、変更されている可能性があります。
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