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事例紹介
城東社会保険病院

城東社会保険病院

稼働システム
  • 病院情報システム HAPPY CLIOS
  • 医事会計システム HAPPY CS-II
診療科目:
8科(内科、呼吸器科、消化器科、循環器科、外科、整形外科、肛門科、放射線科)
病床数:
130床(実働病床129床、1泊ドック1床)
介護老人保健施設・健康管理センター併設
所在地:
東京都江東区亀戸9-13-1
TEL:03-3685-1431
http://www.zensharen.or.jp/jyob/

オーダシステムで診療時間を短縮。
患者さんへの情報提供にも活用。

城東社会保険病院は、東京都江東区に位置し、拠点病院としてより質の高い医療の提供を目指し、地域の医療機関と積極的な病診連携や病病連携を推進するとともに、医療スタッフは、インフォームドコンセントを基本姿勢として医療を行っています。同病院で稼働中の病院情報システム『HAPPY CLIOS』と医事会計システム『HAPPY CS-II』に関して、高橋正志院長と堀川泉医事課長兼情報処理室長に、導入の経緯と現在の運用、今後の展開について伺いました。

パッケージソフトには業務に即した合理性がある

イメージ
城東社会保険病院
院長 高橋正志氏
  城東社会保険病院は、平成8年4月に現在の新しい病院で業務を開始した。移転に際して業務の効率化のために「オーダシステム」を導入した。その後、平成14年に現在稼働中の病院情報システム「HAPPY CLIOS」に更新しているが、初期システム導入に際しては、疑問の声もあったという。
「130床規模の病院でオーダシステム導入は時期尚早ではないか、という声もありました」と堀川泉医事課長兼情報処理室長は語る。平成8年当時、オーダシステムを導入していたのは大学病院などの大規模病院がほとんどで、中小規模病院ではほとんど導入例がなかったためだ。とはいえ、完全オーダーメイドのシステムを構築するには莫大な費用がかかる。そこで、オーダシステムのパッケージを導入することになった。そのため、パッケージの仕様と当院の業務の流れが必ずしもすべてが一致したわけではなかったが、病院の業務の流れをパッケージに合わせるよう見直した。
 医師や職員に負担をかけることになったが、パッケージを選択したのは「モデルとなった病院の業務に合わせて設計された合理性があり、それなりの裏付けがあるはず」なので、そうした実証されたシステムを導入することで、大きなトラブルは回避できるはずという安心感もあったという。

きめ細かな予約対応や患者さんへの情報提供にもオーダシステムを活用

城東社会保険病院システム構成図 運用面の責任者である高橋正志院長によると、医師や職員が比較的若くコンピュータを使い慣れていたので、システムの導入が決まってからの抵抗は比較的少なかったという。導入に際して、古い病院にシステムを仮設置したり、新しい病院が稼働する前に導入したシステムで、各職種の人々が操作方法や運用に関して1カ月間ほど訓練したが、現在では「オーダシステムがなければ診療に困る」ほど重要なツールになっているという。
 城東社会保険病院では、オーダシステム導入以前は予約制度を採用していなかったため、患者さんは来院順に診察を受けていたが、システム導入後は15分間単位で次の受診の日時を予約できるようになっている。
 しかもシステム導入前は、診療室では検査の予約ができなかったために、患者さんが診察室と検査室を行ったり来たりする必要があり、外来日を決定するまで時間がかかっていた。しかし、システム導入後は診察室の端末から検査オーダを入力すれば、検査結果が出る日がわかり、患者さんの都合を尋ねて次の外来日をその場で決めることができるようになっている。
 さらに、医師が自分の担当ではない患者さんを診察する場合に、担当医が次に診察する日を調べてその日までの薬を処方したり、担当医が次に診療する日に患者さんの予約を入れる、といったシステム導入前にはとうてい不可能だった予約も可能になったという。
 また、ペースメーカーを使用している患者さんの機械点検には30分間程度かかるため、一般の診療とは別の時間を設けている。そうした別の予約枠を設けるのも容易だ。
 城東社会保険病院には、呼吸機能、心臓機能、肢体不自由、膀胱直腸機能などの障害者認定の指定医がいるので、地域の診療所から患者さんの依頼を受けることもある。そうした障害者認定の診断書を書く際にもオーダシステムを活用している。
検査結果のグラフ表示や検査結果報告書のプリントアウトなど、患者さんへの情報提供にも活用している。
 さらに、オーダシステムを患者さんへの情報提供にも活用しているという。血液などの検査データをグラフ表示できるので、患者さんにモニタでグラフを示しながら「血糖値がだんだん下がっていますね」などとわかりやすく説明できる。もし必要があれば、グラフをプリントアウトして患者さんに渡すこともできる。
 以前は、こうした検査データなどもすべて紙に打ち出してカルテに綴じなければならなかったために、膨大な量のデータをプリントしてカルテに綴じていたが、現在は検査データ等の電子保存が可能になったので、カルテもだいぶ薄くなったという。

オーダシステムの導入は病院経営にも貢献

 堀川氏は、オーダシステムの導入は病院経営にとってもプラスになったと語る。
「システム導入が病院経営を圧迫するのではないかという声もありましたが、当院はオーダシステム導入後もずっと利益を出しています」
 その理由としていちばん大きかったのは、外来患者数を大きく増やすことができた点だ。オーダシステムの導入で、患者1人当たりの単位時間を短縮できたためである。
受付を終えた患者さんのカルテは、医事課から各科に搬送される。
 例えば、薬の処方の際、オーダシステム導入以前は、3枚複写の処方箋に外来のたびに同じ医薬品名を記入して1枚目を切り取っていたが、システム化したことでそうした手間が大幅に省けるようになっている。患者さん1人では数分間の時間短縮にすぎないが、1日の来院患者全体になると、大幅な時間短縮になる。その分、より多くの患者さんを診ることができるようになり、外来患者数を大きく増やすことができたのである。
 以前のシステムでは、システムが2〜3時間停止することもあったが、現在のシステムでは、朝の立ち上げでトラブルが発生し、診療開始時刻の8時半までになんとか無事に動いたことが1〜2回あっただけだという。
「これまで大きなトラブルはありませんし、処理速度が圧倒的に速くなっており、非常に満足しています。特に、法改正への対応では大幅な効率化が実現できています。システム化以前は夜中に数人掛かりで数日間かかった法改正対応の作業が、1人が2〜3時間で処理できるようになっています」

電子カルテ化への道

 電子カルテ化に関して、高橋院長は「所見の入力に時間を取られるために、診療の処理速度が遅くなる可能性がある」と見ている。また、導入コストやランニングコストの点でも、検討の余地があると考えている。
 システム化の順番としては、医用画像システムとオーダシステムのリンクを考えている。しかし、画像データを表示するモニタが小さくて細かい部分が見にくいという問題もある。
 デジタル化以前の過去の画像を参照する際に、フィルムとモニタの画像で正確な比較できるのかという問題もある。また、こうした画像診断のためには放射線科の専門医が必要になるが、城東社会保険病院には常駐している専門医がいないためその点をどうするか、そうした課題をいかに解決するか検討しているところだという。
 診療行為を支える「裏方」として将来を見据えた場合、堀川氏は「電子カルテ化は避けて通れないだろう」という。
 今後、医療費は包括支払い制度へと進んでいく。その際には、治療原価の把握が重要となる。治療原価を把握しないと病院経営が成り立たなくなるからだ。出来高払い制では、診療行為をやればやるだけ売り上げ高を増やすことができるが、包括支払い制になれば無駄な診療や検査はできなくなる。そのため、オーダシステムと医事会計システム、各種検査システムが完全にリンクした「電子カルテ」が不可欠になるからだ。
 城東社会保険病院では、3年後にシステム更新時期を迎えるが、堀川氏は健康保険証のIC化やICタグの普及など、ITの進展によって在庫管理や人員配置も含めた原価管理が可能になる完全ペーパーレスの「電子カルテ」の実現に期待している。

『TSMED NOW』Vol.3(2007年4月30日発行)より
本記事中に記載されている固有名詞や肩書き、数値等は掲載日現在のものであり、変更されている可能性があります。


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